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「僕ね、大切な人ができたんだ」




キュヒョナを失って、ボロボロになっていた僕を助けてくれた、大切な人に。

僕はその人を愛するんだ。キュヒョナを愛していた時と同じように。


ずっと待っていたかった。ずっと愛していたかった。
なのに、ごめんね。僕が弱いから。

キュヒョナは何一つ間違ってなんかいないよ。
その証拠に、僕がキュヒョナを想っていた記憶は、ずっと心に残るから。


だから今日で、もうお別れするよ。

叶うなら、目覚めてほしい。その時まで、一緒にいたい。

キュヒョナ。届いてる?ちゃんと聞いてくれてる?


もし届いているなら、泣かないでよ。
僕だって辛い。キュヒョナとの想い出が、溢れるほど込み上げてくるんだから。

ごめんね。

何度謝ったって許してくれないかもしれないけど、
それと同じように、何度謝ったって、僕はもう決めたんだ。


そしてもし、この声が届いていないのなら…。

そのままで、いて。聞かなくていいから。
キュヒョナの心で、僕はずっとキュヒョナのことを愛していたことにして。お願い。


キュヒョナの眠る世界が、明るくなることだけを願うよ。

キュヒョナの瞳の奥が、輝くことだけを祈るよ。


愛してた。人生でこんなにも誰かを愛したのは初めてだったよ。

もしキュヒョナが目覚めても、僕は傍にはいられない。


その時は、恨んでよ。憎んでよ。

でも、忘れないで。


僕がキュヒョナを愛していたことを。




ごめんね、キュヒョナ。

ありがとう、キュヒョナ。


さよなら、キュヒョナ。




僕は一生、キュヒョナとの想い出を忘れないから、
どうか、キュヒョナも覚えていて。



君の世界が、暗闇で終わらないように。





ありがとう。愛してたよ、心から。



キュヒョナ、ばいばい。





















降り返っちゃいけない。
もう、言うべきことも、言いたいことも全て告げた。


僕は病室の引き戸を静かに閉める。
胸にこみ上げてくる想いと涙は、多分抑えなくてもいいのもなのだろう。



春の陽気が漂う病院の外では、彼が待っている。




春の風が僕にくれたものは、計り知れない。









This wind should also reach you.

〝この風が君にも届くように〟









僕はまた、歩き始める。









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